【2026年6月版】山形サイバー防災レポート:法人口座を狙う「ボイスフィッシング」と企業を揺るがす「ニセ社長メール」の罠

みなさん、こんにちは。テクノガイドヤマガタの小出です。山形もいよいよ梅雨の季節に入り、じめじめとした日が続いていますね。「お茶でも飲みながら」、一息ついて経営や現場の課題について一緒に考えていきましょう。
さて、今月も山形県警察本部からたくさんの防犯情報が届いています。情報を並べてみて、私が強い危機感を抱いたのは「うちのような小さな会社に、サイバー攻撃や詐欺なんて関係ない」という油断を、犯人グループが完全に狙い撃ちにしてきているということです。特に今月は、法人口座や企業のバックオフィスを直接狙った生々しい手口が、私たちのすぐ足元(山形県内)で発生しています。
大切な組織の資金と信頼を守るために、今月山形で何が起きていたのか、中学生でもわかるように分かりやすく解説します。「守りのIT」の視点で、明日からの対策を一緒に確認していきましょう。
企業の法人口座・バックオフィスを狙う最新の罠
これまでは個人が主なターゲットだと思われていた詐欺が、明確に「企業」へとシフトしてきています。総務や経理の担当者様、そして経営者様は今すぐ社内でこの情報を共有してください。
① 法人口座を空にする「ボイスフィッシング」と「遠隔操作ソフト」の恐怖
全国的に法人口座を狙った不正送金被害が、手口を変えて再発しています。犯人はまず、銀行関係者を装って企業に電話をかけてきます。この際、自動音声を交えるなどして本物っぽく信じ込ませ、担当者のメールアドレスや携帯電話番号を聞き出すのです。
ここからの連携プレーが非常に巧妙です。
- ステップ1:聞き出したメールアドレスに「セキュリティ強化のため」と嘘をついて偽のメールを送り、企業のパソコンに「遠隔操作ソフト」をインストールさせます。
- ステップ2:同時に携帯電話へ偽サイトのリンクが付いたショートメッセージ(SMS)を送り、ネットバンキングのIDとパスワードを盗み取ります。
- ステップ3:企業のパソコン画面に「システム更新中」といった嘘の画面を表示させて担当者が操作できないようにし、その裏で、盗んだIDを使って遠隔操作で不正送金を実行します。
「まさか自分が」と思うような隙を突いてくる恐ろしい手口ですね。銀行から不審な電話があった際は、言われた通りに操作せず、必ず一度電話を切り、知っている営業店や代表電話に折り返すルールを徹底しましょう。
② 身近なLINEが悪用された「ニセ社長詐欺」(山形市内での未遂事例)
6月23日、山形市内の一般企業でゾッとするような未遂事例が確認されました。職場のメールボックスに、なんと「自社の社長」を名乗る人物から「仕事の関係でLINEグループを作って、QRコードを送ってほしい」という指示が届いたのです。
メールを開いた社員は、てっきり社長からの本物の指示だと思い込み、言われた通りにLINEグループを作って返信してしまいました。すると、グループに入ってきた「ニセ社長」から、次のような具体的な指示が飛びます。
「すべての銀行口座の利用可能残高を確認して」
「これから3,000万円の支払いがあるから、今すぐ振込の手配を進めて」
幸いにも、経理担当者が金融機関に向かう途中で「LINEのアイコンが本物の社長と違う」ことに気づき、間一髪で被害は防げました。しかし、もし気づかずに振り込んでいたらと思うと、企業の存続に関わる大事件です。
社長や経営者を名乗る人物から、メールやチャットで「通常の経理ルートとは違う急な振り込み」を指示されたときは、どんなに急かされても必ず本人の肉声や対面で事前確認する仕組みを作っておく必要があります。
個人もターゲット!急増する「+」からの国際電話とSNS詐欺
企業だけでなく、地域にお住まいの個人や、働くスタッフのみなさんのスマートフォンにも毎日巧妙な罠が仕掛けられています。
① 郵便局や税関を騙る「自動音声ガイダンス」の不審電話
6月に入り、山形県内で「郵便局」「日本郵政」「税関」を名乗る特殊詐欺の不審電話が急増しています。その多くが「+」から始まる国際電話番号や、自動音声ガイダンスを使ったものです。
「あなたが送った荷物の中にキャッシュカードや違法薬物が入っていた」などと身に覚えのないことで不安を煽り、その後、警察官を名乗る男に電話を代わって「無実を証明するためにお金を振り込め」と要求してきます。警察官や税関が、国際電話で現金を要求することは絶対にありません。電話でお金の話が出たら、一度切って家族や警察に相談しましょう。
② Threadsやマッチングアプリが入り口に。「SNS型投資・ロマンス詐欺」
SNSを通じて親しくなり、一度も会ったことがない相手からお金を騙し取られる被害が後を絶ちません。長井市では50代女性がLINEグループでの投資話を信じ込み、合計7,450万円を騙し取られる甚大な被害が発生しました。また、山形市でも60代男性が「上昇株を自動判別できるアプリ」を信じて1,511万円を失っています。
さらにThreads(スレッズ)の広告から「簡単に稼げる副業」としてLINEに誘導され、暗屋資産(仮想通貨)で100万円〜150万円を騙し取られるケース(山形市、新庄市)や、マッチングアプリやFacebookで知り合った相手から「将来の同棲資金を増やそう」と暗号資産投資を勧められて被害に遭うロマンス詐欺(山形市)も発生しています。
SNS上でいくら親しくなっても、「一度も会ったことがない人からの金銭の要求、投資や副業の誘い」はすべて詐欺だと疑ってください。利益が出ているように見える偽のアプリ画面に騙されてはいけません。
今すぐできる「守りの対策」と山形県の防犯補助金キャンペーン
こうした犯罪から身を守るために、システムを新しく買うお金がなくても、今すぐできる対策があります。
① 固定電話・携帯電話の着信ブロック
不審な電話そのものを受けない環境を作りましょう。
- 固定電話:NTT等に「国際電話利用休止」の申込みをすることで、海外からの不審な着信を無料でブロックできます。
- 携帯電話:警察庁が推奨している迷惑電話ブロックアプリをインストールし、不審な番号からの着信を表示・拒否できるようにしましょう。
② 【注目】山形県「防犯用品購入キャンペーン」がスタート!
非常にタイムリーなことに、山形県では県民の防犯対策を支援するため、6月22日から「防犯用品購入キャンペーン」をスタートさせています。予算の上限に達した時点で終了となりますので、この機会に設置や更新を検討してみてはいかがでしょうか 。
| 対象となる防犯用品 | 補助金額(ギフトカードでの補助) |
|---|---|
| 迷惑電話防止機能付き固定電話機 | 最大 5,000円 |
| 住宅用防犯設備(防犯カメラ、センサーライト、ドアホン、防犯ガラス・フィルム、鍵等) | 購入・設置費用の2分の1(最大 20,000円) |
| 青色防犯パトロール用資機材(青色回転灯、マグネットプレート等) | 購入費用の2分の1(最大 10,000円) |
※応募期間:2026年6月22日〜12月17日まで。インターネットまたは郵送で申請が可能です [cite: 12]。
ITを活用して業務を効率化する「攻め」の姿勢も大切ですが、こうした詐欺やサイバー犯罪から組織の資産を守る「守り」の視点があってこそ、安全で持続可能なDXが実現します。まずは身近な確認ルールの徹底や、スマートフォンの設定など、できるところから最初の一歩を踏み出してみませんか?
🛡️ 本日のまとめ:最新の詐欺は「身近な連絡ツール」と「油断」を狙ってくる。まずは組織内の確認ルールを見直すことが、最も確実な最初の一歩です。
「銀行や社長を名乗る急な連絡に、現場がパニックにならずに対応できるだろうか……」
「セキュリティ対策が必要なのは分かっているけれど、何から手を付ければいいのか分からない……」
そんな「とりあえず回っているけれど、なんとなく不安」を抱える経営者様、現場のリーダー様へ。
テクノガイドヤマガタでは、ITという「算盤(道具)」を使って、皆様の現場の「論語(想い)」を形にするお手伝いをしています。
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